インスタ映えの基本をプロが伝授! スマホのカメラでも料理をきれいに撮るためのテクニック

SNSなどで見かけるオシャレで美味しそうな料理の写真。自分もきれいに撮ってみたい! と思っても、なかなか上手に撮れないものですよね。では、プロのカメラマンはどのようなことを意識して、料理を撮影しているのでしょうか? 多数のメディアで活躍されているプロカメラマンの瀬川陣市さんに料理を上手に撮る方法について伺いました。

プロカメラマン瀬川陣市のプロフィール
瀬川陣市 プロフィール

フォトグラファー、フォトララ写真未来研究所(https://photolala.net)代表。
米国ウィスコンシン州立大学などで写真を学び、帰国後1995年よりフォトグラファーとして活動。2006年よりAll About写真撮影ガイドなど、各種メディア等で写真に関する執筆、講座を行う。「動画撮影の教科書」(秀和システム刊)など著書も多数。現在は、動画、ドローン撮影も含めた映像コンテンツについての講師、コンサルなどでも活動中。

みなさん、こんにちは。瀬川陣市です。今回はスマホで料理を上手に撮るコツをご紹介していきます。人間やペットなどの動く被写体と違って、料理は動きません。そこで重要になるのが、光の当て方です。料理は光の当て方を工夫するだけで驚くほどきれいに、そして美味しそうに写すことができるのです。

プロカメラマンが解説!! 料理が映える光の当て方とは!?

逆光で照らされた料理

光の当て方を工夫して料理を美味しく見せる

料理を撮影するときは、明るい光で被写体を照らすことによって、より美味しそうな印象にすることができます。ただし、単純に明るい環境のもとで撮影を行えば良いというわけではありません。光の当て方によっては、写真の印象がマイナスに作用してしまうことも覚えておきましょう。

照明の当て方は逆光が基本!

では、どのように光を当てればいいのか? まずは「逆光」を意識してください。被写体のうしろ、もしくは斜めうしろから光を当てることによって、料理に陰影がつき、浮き立つような印象を与えることができます。逆に、正面から光を当てる順光によって料理を照らしてしまうと、どうしても陰影に乏しく、のっぺりとした印象の写真になってしまうのです。撮影する際には逆光が当たるように料理を配置して、写真に立体感が出るよう意識しましょう。お家のなかであれば、間接照明を用意するのもいいですね。

ただし、飲食店で撮影する場合は照明を移動させることが難しいので、その場合は料理を動かしながら、撮影に適した位置を探してみてください。案内されたテーブルの範囲内であっても、光の当たり方はだいぶ変わるはずです。天井からの光や間接照明の当たり具合を見ながら料理を動かし、できる限り逆光になるポイントを見つけて撮るといいでしょう。

スマホのカメラでも「シズル感」が出せる撮影テクニック!

スマホのカメラでも「シズル感」が出せる撮影テクニック!

シズル感という言葉をご存知ですか?もともとの語源は「ジュ〜〜」や「ジュワ〜〜」などの揚げ物が上がる様子を表した「sizzle」という英単語が元になった言葉です。料理をおいしそうに撮るためには、このシズル感が欠かせません。ハンバーグから溢れる肉汁や野菜から滴り落ちる水滴をとらえた、今にも食欲がそそがれるような写真のことを「シズル感がある」というように表現します。

シズル感を出すコツは、料理の表面に付着している「水分」に光を当てることです。料理全体は逆光で照らし、水分にはピンポイントで順光を当てるイメージでしょうか。例えば、揚げ物にかかっているソースや湯気が溜まってできた泡の部分、野菜の水滴などに光を反射させてみてください。料理のみずみずしさやジューシーさを写真におさめることができます。

その際はスマホのライト機能を使ってみましょう。本格的な撮影時は、別途ライティングを用意するのですが、スマホで接写する場合は備え付けのライトを照らすだけで、お手軽にシズル感を出すことができます。ただし、ライト機能を使う場合は室内のライティングをよく観察するようにしましょう。スマホライトの光量では、大きな光にかき消されてしまう恐れがあります。撮影環境の光の当たり具合や光量を見ながら、どの位置で撮ることがベストなのか、しっかりと確認してください。

料理をきれいに撮る構図の作り方

3分割法を用いて撮影された料理

撮影時はグリッド線を活用して、構図をつくりましょう。グリッド線表示はほとんどのスマホに搭載されている機能で、カメラの設定から簡単に行えます。

iPhoneのグリッド線

構図をつくるときは、まずどの料理を主役にするか意識してください。主役を決めたら構図をつくるわけですが、最初のうちは縦と横のグリッド線が交差する4つのポイントのどこかに主役を置く「三分割法」がオススメです。この構図であれば、自然と余白を活かした写真になりやすいので、オシャレなイメージを際立たせることができます。

メインディッシュが際立つ構図

コース料理やセットメニューなど、複数の料理を同時に撮りたいときは、まずはシンプルにメインディッシュを主役にするといいでしょう。メインディッシュとなる料理を一番手前の目立つポイントに置き、その他の前菜やデザートなどはメインディッシュを囲むよう、なるべく後ろに配置します。すべての料理が画面に入りきらない場合は、パンやライス、サラダなどは見切れさせても構いません。これらはお皿全体が写っていなくても、どんな料理かわかるものなので、あえて見切れさせて、主役を引き立たせる方法もあります。

角度をつけて撮影された料理

主役を引き立たせる方法はほかにもありますが、お手軽なのは角度をつけることですね。例えば、料理が盛り付けられたお皿の下に、紙ナプキンを丸めたものなどを挟んでみましょう。撮影する側から見て、お皿のうしろを少し上げる感じです。料理に角度を与えるだけで、より立体的な印象を演出することができるのです。

スマホで料理の写真を上手に撮る方法 まとめ

料理を撮影するときは、光がどのように当たっているのかを意識することが大切です。光の当て方、当たり方がわかるようになれば、きれいな写真もシズル感のある写真も、今までよりずっと撮りやすくなることでしょう。美味しかった料理の想い出を鮮明に残すためにも、ぜひ練習してみてください。